Works
小松精練本社棟
国内外に生産工場および販売拠点を有し、世界のファッション界にユニークな生地や染色を供給する小松精練株式会社の本社棟は、華やかな企業イメージを持ちながらも、工場群の中で目立つことなく自然な佇まいを求めた事業主の要望に基づき設計された。本社棟の外装には押出成形セメント板を採用し、スレートで構成された工場群との調和を図っている。
本社棟は、日本海に面した工場敷地の玄関口に位置し、上層階からは工場全体を見渡すことが可能であり、生産活動を観察しつつ、屋階の交流室からは日本海や白山連峰を望むことができる。この設計には、日々の生産活動を見直しつつ、社会や人々、自然と向き合い続ける企業の姿勢を建築を通じて問い続けるという理念が込められている。
本社棟は、国内外の工場や支店から訪れる仲間を迎え入れる場であると同時に、全社員が日常的に通過して各勤務場所へ移動する重要な拠点として機能している。さらに、食堂などの厚生施設に隣接し、原材料や部品の搬入、製品の搬出といった車両動線を管理する工場の玄関口としての役割も担う。このように「全社員の交流拠点」であり、「人や物の動線が交差する場」として位置づけられる本社棟には、建物全体を覆うホームベース状の大屋根が設けられ、周囲には庇のある回廊空間が配置されている。
傘を差し出すような大屋根のデザインは、ファッション業界の顧客や関連企業、見学者を温かく迎え入れる建築的表現となり、「よく来てくださった」という気持ちを体現している。
石川県能美市
構造 : S造 一部SRC造
規模 : 地上4階
延床面積 : 3,135㎡
構造 : S造 一部SRC造
規模 : 地上4階
延床面積 : 3,135㎡
受賞歴
石川建築賞入選(2011)