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珠洲市立大谷小中学校

珠洲市立大谷小中学校

能登外浦に位置するこの学校建築は、海と山の両方に接する豊かな自然環境、そして海沿いに木造家屋の集落が連なる奥能登独自の景観の中に調和する形で設計された。当時県内で2例目となる小中一貫校であり、この地域の過疎化による生徒数の極端な減少という特殊な条件下での計画であった。

本計画では、生徒にとって「子どもたちが自信と夢を持って学べるキャンパス」をつくること、地域にとって「地域一体の絆が支える教育環境づくり」を目指した取り組みが行われた。外観デザインは低層で勾配屋根を組み合わせた形態とし、周辺集落のスケール感に調和させるべく前面道路側に連続性を持たせ、景観の一部となるよう配慮した。外装には、集落に多く見られる杉の下見板に倣い、グレーを基調としつつ、周囲の山や海に馴染む緑や青の色彩を多用することで、周囲と調和しつつも色彩豊かな学校を実現した。

内装には地元産材の杉を積極的に採用し、やさしく親しみやすい仕上げとした。内部空間においては、各教室にガラス壁を採用し、小規模校に相応しい連続性のある一体感を演出した。また、学校の中心部には小中9学年の生徒が集まる異学年交流広場「だんだんホール」を設け、学校全体の核となる空間として機能させている。

外構計画においては、前面道路側に菜園、遊具、屋根付きテラスを備えた活動豊かな屋外広場「こども広場」を配置した。これにより、地域住民が日常的に小中学生の活動を目にすることができ、学校生活が地域の風景の一部となるよう設計されている。

石川県珠洲市
構造 : 鉄骨造(新築)RC造(改修)
規模 : 2階建、3階建
延床面積 : 2,218㎡、1,673㎡
用途 : 小中一貫教育校
珠洲市立大谷小中学校
珠洲市立大谷小中学校
珠洲市立大谷小中学校
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