Works
飛騨市文化交流センター
市の中心に公共施設を集め、利用のしやすさと街の賑わいを創出すると同時に、まちづくり総合計画の一環として飛騨市の一体化交流拠点の役割を果たすものとした。
市民の文化的活動には、市民自身が日常的に制作し、練習し、発表する営みと、公演や行事などを鑑賞する営みがあり、その両立を意図した。分野的には当地の個性を考慮し、音楽を主軸とすることを市民とともに決定した。
公演機能を担うホール、日常活動のための練習室群、それらを支えるボランティアや管理のためのサポート室という3つの主要機能を、コミュニティロードや庭を介して適切に分離しつつ結合させている。
クラシック音楽に強い当地の特性を活かし、大ホールには可動式の音響反射板を設置し、オーケストラからソロ演奏まで幅広い鑑賞が可能な設計とした。特に、JR線の振動や音の影響を避けるため、ホールを広場に配置。また、すべての市民が楽しめるよう、親子席、車椅子席、畳敷席などを用意し、インテリアには飛騨の木材と木工技術を取り入れた。
歴史的な町並みや文化、産業の影響を建築デザインに反映した。景観条例に従い、建物の高さはお寺の屋根を超えないよう設計し、緑豊かな小山のような屋根をスカイラインとした。ホールの大きさは小さな要素で囲み、街のスケールに調和させている。木材を用いたコロネードを採用し、降雪時の歩行回廊を確保。インテリアには飛騨の木工を活用し、雪囲いには間伐材を使用した。また、シンボルとなる瀬戸川や、くぼみ、緩やかなカーブなどの景観要素も取り入れた。
既存の4つの公共施設と一体化し、中央の庭を囲む形でデザインを整えた。コロネードによってすべての施設をつなぎ、中央の庭にはそれぞれ個性を持たせた4つのエリアと中央舞台を設けた。さらに、地元出身の彫刻家による20を超える作品を配置し、ブロンズ彫刻庭園としても機能するようにした。
構造 : SRC+RC 一部S造
規模 : 地上2階/地下1階
延床面積 : 5,617㎡
用途 : 音楽ホール・イベントホール・音楽練習場
日本建築家協会優秀作品選(2007)
中部建築賞(2007)
日本建築学会 作品選奨(2009)