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奥卯辰山のびのび交流館 とんぼテラス

奥卯辰山のびのび交流館 とんぼテラス

本建築は奥卯辰山健民公園内にあり、休憩や飲食、グラウンドゴルフ・BBQ等の器具貸出をサポートする施設である。公園の特徴である芝生広場、傾斜や起伏のある地形、伸びやかな景観に馴染むように柔らかな曲線の大屋根を架け、とんぼが羽根を広げ休んでいるような姿から愛称として「とんぼテラス」と命名された。広々とした芝生の上にふわっと浮遊する雲のような屋根を架け、その下に休憩ホール等、来園者が利用できる様々な空間を内包している。構造および内外装には積極的に県産材を活用しており、樹木に囲まれた自然豊かな公園と調和している。建物は大きく2つのエリアに分かれ、主となるホールエリアは木造スペースフレーム架構により樹形のような屋根が続く広い室内を生み出している。また、公園という外部と開放的なガラス建具で連続し、気軽に休憩できる日除け空間となっている。管理エリアにはWCや倉庫など壁を必要とする小部屋を集め、県の施設として初めてCLT構法を採用し、ホールエリアと管理エリアの両者が持つ性格を建築として明確に示している。
また、構造、床、壁、天井の仕上げ、造作家具に至る全ての部分に木を使用することで、来園者に木の楽しさ、美しさ、快適さ、肌ざわり、香りを伝えることを意図している。建物全体が内外ともに木材に包まれており、奥卯辰山健民公園という多くの樹木に囲まれた周辺環境に溶け込む豊かな建築となった。構造用集成材、外装材、内部床材、建具、家具等には強度、耐久性、耐水性に優れた「能登ヒバ」を採用し、室内壁面およびCLTには地場産の「スギ」を採用するなど、県産材の長所を活かした材の選定を行っている。さらに、ホール全体は明るく開放的な大空間として使用できる一方、木製のパーティションで仕切ることで小さい単位でも利用可能であり、ミーティングやギャラリーなど多様な用途に対応できるフレキシビリティのある空間を創出している。

石川県金沢市
構造 : 木造
規模 : 平屋建て
延床面積 : 968.92㎡
用途 : 休憩所
受賞歴

石川県デザイン展「金沢市長賞」(2021)

奥卯辰山のびのび交流館 とんぼテラス
奥卯辰山のびのび交流館 とんぼテラス
奥卯辰山のびのび交流館 とんぼテラス
奥卯辰山のびのび交流館 とんぼテラス