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鳥越村営住宅別宮宮ノ森団地

鳥越村営住宅別宮宮ノ森団地

白山麓の豪雪地帯にある鳥越村では、村営住宅も冬季の深い雪に対する配慮なしでは建設できず、建設計画において「雪の克服」が当然の課題であるが、鉄筋コンクリート住宅では伝統的な山村とはマッチせず、地域コミュニティになじまないと思われる。木造で魅力ある村営住宅を建設することが、若者の定住性や山村にふさわしい建物となるのではなかろうか。新しい山村住宅のあり方をめざし、数回に渡り委員会が開かれ、テーマの実践のための議論が繰り返され、最終的に次のような計画が整理された。

  1. 平年でも2メートル前後の積雪があるため、高床式とし、床下は収納庫とする(農機具や除雪器具、スノータイヤなどの収納のため、充分な大きさとする)。
  2. 玄関前の雪囲い空間をあらかじめセットし、作業場や収納空間、駐車スペースとして利用できるようにする。
  3. 道路に面しない棟には雁木を設置し、雨や豪雪時のアプローチを確保する。
  4. 冬の物干し場となるサンルームを設ける。
  5. 雪降しのため、屋根を単純な切妻型とする。
  6. 大きなガラス面を設け、明るい部屋になるようにする。
  7. 裏庭へ出る時に、玄関から回らなくてもサンルームから出入りできるよう階段を設ける。
  8. 二戸を一棟とし既存の民家と同等の大きさとすることにより、「公営住宅は貧弱だ」という印象を取り除き、また、屋根は連続しているが、各戸間に空間を設け暗くならないようトップライトを付ける。
  9. 敷地内道路は曲線にして、敷地の一体感を配慮する。
  10. 既存集落には柿の木が多いので、住宅の広場にも柿の木を植え共同で収穫する。
  11. 住宅の広場の関係を緊密に連続させ、既存住宅の居心地良さをつくり、既存集落との連続性を考慮する。

石川県白山市
構造 : 木造
規模 : 平屋建て
延床面積 : 693㎡
受賞歴

建設大臣表彰(1984)
中部建築賞(1984)

鳥越村営住宅別宮宮ノ森団地
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