石川県屋内木育施設 もりのひみつきち

石川県森林公園の開園50周年を記念して計画された木の魅力を伝える全天候型の木育施設である。園内にあるキャンプ場のテントやタープの風景をモチーフとした建築は、構造や仕上にふんだんに木材を利用し、ダイナミックな架構や空間の展開により木の楽しさや驚きを体験できる。
敷地である森林公園内で育成・伐採された杉材363㎥と、能登ヒバ47㎥を使用し、木材の93％を敷地内産材や県産材でまかない、地域林業の振興と循環型社会の実現に貢献している。
木育ホールには木製の大型遊具が設置され、広い無柱空間を確保するために放射状レシプロカル構造を採用している。この構造により、内法幅13間の大空間を実現している。壁面は肋木をモチーフにした二重筒状耐力壁面とし、螺旋状スロープを上がる楽しさや視線の抜けを演出している。 エントランスの多角形屋根は、用途に応じて高さを変化させ、木材の架構美を際立たせている。 床材には森林公園産の杉材をふんだんに使用し、子どもたちが直接木に触れることで木の魅力を五感で体験できる。さらに、屋根付きのマルチスペース等の半屋外空間や、螺旋スロープに設けられた3カ所の踊場では、森とつながる場を設けた。
構造用集成材のラミナや内外部仕上材の製材、乾燥、集成材の製造、加工まで地元で行い、地産地消を実現することでCO2削減を図り、ZEBReadyの基準を満たす設計とすることで省エネ等環境への配慮を行った。