手作り木工館　もく遊りん

「もく遊りん」の立地は樹林の中の傾斜地。私たちは、柱、梁が林のように並ぶ矩形平面の案をいくつか提示したが、角永さんのＯＫが出なかった。そうして、かなり無理があると思いながら出した円形プラン、勾配床、小径木と鉄製ジョイントという混構造の案にゴーサインが出た。いずれも、伝統的な木造から離れた空間、構法、納まりのため、自ら施工の一翼を担った角永さんもほとんど毎日現場に出られ、共に頭を抱え、知恵を出し、手を入れておられた。その情熱に魅かれ、私たちの担当者もまた、のめりこんでしまい案の実現化だけでなく、いつのまにか備品、器具の製作や木工品の開発まで一緒にやるようになっていた。外観は曲面と勾配ゆえに樹木環境の中に埋没していて目立たないが、インテリアでは細い柱が林立しながら高低差のある大きな、しかしきめ細かな空間ができ上がった。