Works
入善町健康交流プラザ サンウェル
入善町は、北アルプスを下った黒部川が展開する扇状地に位置し、高齢化が進んだ町である。「サンウェル」は典型的な田園環境の中に建ち、近接する体育館や運動場と共に健康ゾーンを形成している。この施設は、「サンウェル」という名前の通り、健康(Wellness)、福祉(Welfare)、歓迎(Welcome)の3つの用途を含んでいる。
町民が気軽に自らの健康を診断し、処方し、互いに助け合いながら健康を増進できるように、わかりやすい空間を目指して設計された。外観には「健康の城」と呼ぶにふさわしい個性的な存在感を持たせている。
健康、福祉、交流という3つの機能をそれぞれ独立した棟として構成し、ホールや塔で連結することで一体的な空間を実現した。内部空間には木材や珪藻土塗壁といった自然素材を使用し、温もりと優しさを感じさせる色彩を取り入れている。また、「サンウェル」の名前にちなみ、風の井戸、水の井戸、光の井戸という3つの塔を設け、それぞれが3つの機能を象徴し、特徴的な役割を果たしている。
扇状地に湧き出す豊かな水を象徴する水盤を敷地の中心に配置し、その周りに建物を配置した。さらに、扇状地の緩やかな勾配を表現する芝生の前庭や、冬の季節風対策として北西面に防風樹壁を配置するなど、地域風土を意識した設計がなされている。
建物の外観は、3つの棟を覆うダイナミックな屋根と、それに連なる傘屋根を持つ3つの塔が印象的である。これらの要素が織りなす変化に富んだ全体の形状は、扇状地の雄大な風景に負けない力強さを持ちながらも、町民に新たな健康の家としての強さと温もりを感じさせている。
構造 : W+RC+S造
規模 : 地上4階/地下1階
延床面積 : 4,298㎡
用途 : 保健センター・多目的ホール・ギャラリー
日本建築学会作品選集(2003)
うるおい環境とやま賞(2000)