パーク獅子吼「ふれあい館」

獅子ワールド館やゴンドラ駅、砂防修景などを含む山麓一帯は、「パーク獅子吼」という公園である。その公園内に立地するふれあい館は、休憩、飲食、会合、雨宿り、トイレなどの機能を持つ多目的施設である。

建築は敷地の現状をまったくいじることなく、斜面に円筒状の外壁を突き刺している。円筒内部の中央は斜面を利用した階段状広場となっており、集会、イベント、休憩などに利用される。一方、円筒の周縁部は机と椅子を固定した斜路状の休憩・飲食空間として設計されている。

ふれあい館は、獅子ワールド館に隣接していることから木造と大屋根の特徴を受け継いだ。また、集成材の大梁を除き、大屋根を支える16本の柱には地元産の白山杉（末口550mm）の皮剥丸太を用いている。このように、構造材から仕上げ材、さらには木レンガに至るまで地元産の杉材を活用している。さらに、床仕上げの洗い出し骨材や珪藻土、和室障子に使用された加賀和紙など、地元特有の材料と技術が随所に採用されている。

「モノづくり」を大切にし、長年の信用を保ち続けてきた人間関係に支えられた確かな暮らし。その町のエネルギーに呼応する建築空間となるよう心がけた。